賃貸住宅経営をされている方の多くは、会計を税理士の方にお任せして、税金の申告をされるときに、少し説明を受け疑問もなく済ませておられます。
経営が順調であれば問題はないのですが、築20年頃から「空き室が増えて、収入が減ってきた」「大規模修繕しなければならないけど、資金が足りない」「サブリースの一括借り上げ先から、家賃減額請求された」等々の問題が、発生してきます。

こんな時、税理士に相談しても、税理士は税金の専門家ですが、経営の専門家ではありません。弁護士も、法律の専門家ですが、賃貸経営についてアドバイスはできません。
そのようなリスクを少しでも減らすために、まずは経営の基本「会計」を学ぶことが大切だと考えています。

===財務諸表===
会計の目的は、財務諸表の作成です。財務諸表には「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」などがあります。このうち税理士さんは、「貸借対照表」「損益計算書」を作成してくれます。しかし会計の知識がないと何を示しているかわかりません。

その内容を知っておくことで、現在の経営状況を把握するだけではなく、将来のために何が必要かを考え、今後必要な資金の準備をするきっかけになります。

===経営指標===
財務諸表の数字から「経営指標」を知ることができます。
金融機関は、賃貸経営の状態を「経営指数」で判断します。経営指標といっても多くの種類がありますが、すべてを知る必要はありません。
賃貸経営で、大切なのは「投資利回り」「レバレッジ判定」「返済倍率」「損益分岐点」などです。経営指標を知ることで、現在の経営状態だけではなく、将来のリスクへの備えも考えることができます。

===不動産の価値を知る===
不動産のオーナーの中には、所有されている不動産の現在価値を正しく認識しておられない方もいらっしゃいます。現在の価値を知ってもすぐに役立つわけではありませんので、認識が薄いようです。
しかし大規模修繕費用を借り入れを行う場合、金融機関は不動産の価値を査定します。不動産価値の査定を知っておくと、金融機関への申し込みの際に役立ちます。
そして、いずれは建て替えたり、相続・継承の時期が来ます。場合によっては売却するかもしれません。不動産価値を定期的に調べておくと、将来どのように変動するかの予測もできます。

===会計の基礎を学ぶ===
会計学は大変広い学問です。すべてを学ぶのは難しいのですが、その基礎を知っておくだけで、リスクを減らすことができます。日本住宅性能検査協会では、その基礎を学ぶ機会を設けています。