この数年で農地法は、たびたび改正されてきました。平成21年には「農業への参入を促進するための規制緩和」が行われ、平成27年には「農地を所有できる法人要件の見直し」に関する改正がありました。令和4年と令和5年にも改正され、農地の所有制限もかなり多く緩和されてきました。この効果と懸念点を少し考えてみたいと思います。

===令和4年と令和5年改正農地法の内容===
農地取得の下限面積の実質自由化など 農業への参入を促進し、限りある我が国の農地を有効利用するための改正です。
個人の場合、農地を効率的かつ適切に利用すれば原則自由に農地を取得することができるようになりました。かつては一定の広さの農地(地域によって10a以上)を経営しなければなりませんでしたが、この下限が撤廃されました。
もうひとつは、役員の一人以上が常時農業に従事する法人は、全国どこでも農地を借りて、農業に参入できるようになりました。また一定の要件を満たせば農地を購入することができます。
といっても、農地を有効利用するための改正ですので、農地転用に関しては変わらず、従来どおりの規制はあります。この規制は崩さないように願っています。

===外国人の農地取得===
個人や法人が農地を取得するには市町村の農業委員会に申請し、許可を受ける必要があります。 申請項目に国籍はないが、施行後は個人の国籍のほか、法人の場合も設立した国や大株主の国籍などを届け出なければなりません。昨年までの調査では、 居住地が日本にある外国人と思われる者による権利取得は102名(142ha)、外国人と思われる者が議決権を有する法人は、12社(12ha)です。

===やはり日本の農業を守り続ける必要があります===
日本の人口の減少傾向は止まりそうにありません。このまま人口とともに就農人口は減っていくことが懸念されます。そのためにも外国人の農業参入は、資本参加ではなく実際に農業に従事する前提で、推進しても良いかと考えています。ただ心配なのは、このメールマガジン57号で、懸念した資本の参入による農地を荒廃させる事態です。
政府は農林水産省を中心に様々な政策を打ち出し、日本の農業の活性化を進めようとしています。AIの活用、特定技能外国人の受け入れ、6次産業化等々。企業や研究機関は、より強く日本の自然と農業を守るために、力を尽くしていただきたいと願っています。

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不動産トラブルトピックス(Vol.11)
<更新手数料>(2)
(質問)
家主に支払う更新料以外に、管理会社から更新手数料の請求が来ました。
そこで、契約時の書類をよくみると、重要事項説明書にはその旨が書かれています。
このような場合、更新手数料の支払いを拒否することはできないのでしょうか?

(回答)
契約更新に当たって、借主が更新手数料を支払う義務はないことは、上で述べたとおりです。更新手数料の支払い義務に関して、仲介業者で受けた重要事項説明書で記載されている場合にどうなるかということです。
重要事項説明書というのは、契約前に、借主が契約するかどうかの重要な判断をするに当たって、必要となる重要な判断ポイントを記載した文書であり、宅地建物取引業法で定められたものです。
この重要事項説明書に記載されている意味ですが、それは、法律上、記載が求められた、「賃料以外に授受されるお金」として記載されているという意味しかありません。それは、借主の利益のために記載されているだけであり、借主のお金の支払い義務を定めたものではないのです。
逆に言えば、重要事項説明書に記載されていることを盾として、更新手数料の支払いが義務づけられることはあり得ないのです。