「方丈記」は、高校時代に学んだ古典文学です。「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみにうかぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし、
世の中にある人と棲(すみか)と、又かくの如し」の、冒頭の文章を覚えておられるでしょう。東大名誉教授で医師の養老孟司さんは、今読むべき本としてこの「方丈記」を挙げています。

===方丈記の世界===
方丈記には、「安元の大火」「治承の辻風」「福原遷都」「養和の飢饉」「元暦の大地震」の5つが書かれています。人々がとても苦しんだ時代です。養老孟司さんは、現在と酷似していることを指摘されています。日本では、この20年で自然災害が1.4倍以上増えています。世界では戦火が絶えることはないようです。飢饉も多くの国で続いています。
鴨長明は、次のように書いています。「災いの多いなか大金をかけて住まいを作って、その為にいらぬ心配に神経をすり減らす。これほど馬鹿馬鹿しいことはない。身分が低ければ権力者の前で小さくなっていなければならず、貧乏であれば裕福な隣人と顔を合わせる度に恥ずかしい思いをせねばならない」「人家の密集地に住めば火事の類縁をまぬがれず、僻地に住めば交通の便が悪く、盗難の心配もある。出世する程心は貪欲になっていき、財産があれば心配になり、貧しければ恨みがましくなる」(現代語訳)

===エネルギーの枯渇===
現在社会は、エネルギーを消費して経済を発展させています。人々は、そのエネルギーには限りがあることを忘れているようです。このままの消費を続ければ、石炭はあと118年で枯渇し、ウランは106年、天然ガスが59年、石油は56年でなくなると予想されています。。鉄もプラスティックも生産できなくなります。そうなれば経済発展どころではありません。水も資源です。ロッキー山脈東の帯水層の貯水量はこの100年で半減しました。黄河の水は枯れ、地下水を取りすぎて中国では地盤沈下があちこちで起きています。資源が少なくなると、資源の確保のための戦火が、一層広がることになるでしょう。
鴨長明の考え方からみると、今のエネルギー消費型の経済発展ほど馬鹿馬鹿しいことはないと言えます。

===GDPからSDGsへ===
現代社会の経済発展指標はGDPです。そろそろGDPの束縛から離れても良い頃ではないでしょうか。SDGs(サステナブル・ディブロップメント・ゴール)は、世界が持続性あるものをゴールとしています。SDGsが社会の指標となれば、きっと世界は100年200年と続いていくと考えています。
鴨長明は最後に「事を知り、世を知れれば、願はず、わしらず、ただ静かなるを望みとし、憂へ無きを楽しみとす」と記しています。近くの人や子どもたちと、楽しい晩年を過ごし、当時では長命の62歳で亡くなったとのことです。

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不動産トラブルトピックス(Vol.13)
<家賃の値上げ>(2)

(質問)
契約更新時に、周辺の物件は家賃が下がっているのに、家主から「契約書に記載されている通り、家賃を値上げする」という通告を受けたが、従わざるを得ないのでしょうか?

(回答)
契約書に家賃を自動的に値上げするというような条項がある場合、その規定が自動的に認められるわけではありません。
実際には、どの程度の値上げ幅・金額であるのかが問題となります。

いくら、契約書に記載があるからと言って、まったく合理的な理由のない、一方的かつ高額な家賃値上げは認められないでしょう。

なお、2001年4月以降の契約であれば、消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する条項は無効である」という規定が適用されますので、このような規定は許されないと考えるべきです。
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