日本での外国人の比率が急増しており、その影響がますます大きくなっています。日本社会は多文化共生に向けた変化を迫られており、その備えは急務です。
日本で暮らす外国人は今後40年余りで今の4倍に高まり、人口の1割を超す見込みです。これは欧米と同程度であり、現役世代に限れば25年後にはそうした状況となるでしょう。これにより、日本社会では多言語が共存し、日本語が「公用語」であるという従来の状況が変わりつつあります。

===新宿区の事例===
約35万人が住む新宿区はすでに1割強が外国籍の方々です。学校や幼稚園に通う子どもも多い中、新宿区の大久保図書館では多様な言語の絵本を提供し、外国籍の職員もいて親子連れの相談に応じています。また、区の「多文化共生まちづくり会議」では外国籍の委員が半数近くを占め、区の施設には日本語教室や多言語相談窓口も設置されています。 将来を考えると、新宿のような光景が全国的に普及する可能性が高まっています。

国立社会保障・人口問題研究所によると、67年には人口の1割以上が外国人となり、15?64歳の生産年齢人口を見ると48年に早まる見込みです。また、日本国籍に帰化した人や、父母のどちらかが外国籍である人らも含めるとこれはさらに加速します。

===多文化共生の環境を整える===
日本の企業も多国籍な環境に適応し、外国人の雇用に積極的に取り組んでいます。一部の企業では公用語を英語に切り替え、外国人労働者を受け入れるために英語力を高める取り組みが進行中です。

日本が多文化共生の社会に向かうにあたって、日本の住宅も、多国籍・多言語社会での円滑なコミュニケーションが取れる取り組みを進めなければいけません。欧米などの多国籍社会における成功事例から学び、社会の分断を回避し、共生を進めるための知恵を絞るべきです。 日本の未来を見据え、外国人が住みやすい社会や住環境を整備し、多文化共生の取り組みを進めることが、将来の社会の発展に不可欠であり、そのためには外国語の学習機会の提供や施設の多言語対応などが重要となります。

===年をとってからの外国語の学び方===
とはいえ、日本人にとって外国語はとてもハードルが高いようです。特に日本では、学校で英語学習をしても話す機会がないため、英語を話せない・英会話ができない悪循環が生じます。
まずは外国語を学ぶための具体的な学習目標が必要です。例えば、日常会話のスキル向上、ビジネス英語の習得、英語での趣味の活動など、目的に合った目標を立てます。
そして毎日少しずつでも学習を続けることが大切です。継続的な学習がスキル向上につながります。英語を話す機会を増やし、英語のニュース、ポッドキャスト、映画、音楽を聴くことで、スピーキングとリスニングスキルを向上できます。また、英語を話す相手を見つけ、言語交換を行う事で実践的なスキルも磨けます。

外国語学習の秘訣は楽しむことです。趣味を英語で楽しむことなどで、年を取ってからでも十分に外国語を学ぶことができます。

執筆:日本住宅性能検査協会 研究員 秋山将人

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不動産トラブルトピックス(Vol.14)
<賃借権の相続>(1)
(質問)
民間アパートに住んでいた父(借主・同居中)がなくなったので、家主に、名義変更してそのまま住みたいと申し出たが拒否された。
退去せざるを得ないのでしょうか?

(回答)
民法では、6親等以内の血族と配偶者、3親等以内の姻族を法律上の親族としていますので、子供として、お父さんの財産の相続権があります。
お父さんが借主となって、民間アパートを借りていたわけですので、子供は、住む権利(賃借権)を相続することができます。

相続権については、家主の承諾を得る必要はまったくありませんので、家主は、相続人(子供)の住む権利を拒否することはできないことになっています。
名義変更そのものについては、してもしなくても住み続けることができますが、契約更新の時点で名義変更を行ったほうがよいでしょう。
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