大正12年(1923年)9月1日の関東大震災から99年になります。来年は100年です。内閣府の調査では80%以上の方が自然災害に不安を感じています。

ところが、耐震補強工事をする予定がない方が40%近くおられます。

そこで、先週お送りした東京大学の目黒教授のレポート「なぜ、住宅の耐震化が進まないのか?」の続きを要約でお送りします。


===自助・共助・公助===

防災において「自助」「共助」「公助」が重要ですが、基本は「自助」にあります。

「自助」が基本といえる理由は、大規模地震災害時には、被害量が膨大になるため、行政のみの対応では不十分なこと、また規模がそれほど大きくなくとも、生死に直結する発災直後の時間帯は、行政による十分な対応を期待することが不可能だからです。

地震防災における「自助」の最重要なアクションは、事前の「建替え」と「耐震補強」です。

これを実現する「制度」として、「行政による新しいインセンティブ制度」、「耐震補強実施者を対象とした共済制度(共助)」、「新しい地震保険(自助)」を提案しています。


===行政による新しいインセンティブ制度===

持ち主が事前に自前で、耐震診断を受け補強の必要がないと評価された住宅、または耐震補強をして認定を受けた住宅(いずれも将来の地震時の公費の軽減のために自助努力したもの)が、地震によって被害を受けた場合に、損傷の程度に応じて、行政から優遇支援される制度です。


===耐震補強実施者対象の共済制度===

耐震補強時(100万〜150万円を支払う際)、2万円ほどの積立てを1回するだけで全壊時に1000万円半壊時に300万円の支援を受けることができる共済制度の創設。 


===揺れによる被害を免責にする保険===

揺れによる被害を免責にする地震保険です。すなわち、揺れには耐えて残ったが、その後の火災で被災した場合に役立つ保険です。


===耐震補強のお金がない?===

耐震補強費は木造住宅で100㎡なら150万円です。よく耐震補強に使う「お金がない」という声を聞きますが、ところが、耐震補強と無関係なリフォームは。戸建住宅だけでも年間40万棟の規模で、平均400万円程度かけて行われています。

このリフォームの機会を活用して補強をすれば、耐震補強の経費は半分程度に簡単になります。

でも耐震補強をしない。なぜなら耐震補強の重要性耐震補強の重要性に関してのイメージが低いから。

現在のわが国のように地震活動度の高い地域や時期には、「市民1人ひとりが事前の努力でトータルとしての被害を減らす仕組みを作ったうえで、努力したにも関わらず被災した場合に手厚いケアをする制度」の整備が重要です。