太陽光余剰電力買取制度(FIT)は2009年11月にスタートして、10年後2019年11月から順次、買取期間満了を迎えます。 これが「太陽光発電の固定価格買取期間満了」、FIT制度の買取が満了するという意味で、通称「卒FIT」ともいわれています。

===卒FIT===
買い取り価格は、制度発足時2009年は48円/kWhでしたが、その後順次下げられ、2022年現在は17円/kWhと下がっています。卒FIT後の買取価格は、電力会社によって変わりますが、東京電力で8.5円/kWhです。
一方発電コストも2014年は29.4円/kWhでしたが、発電効率が良くなっています。しかし、いずれにせよ固定価格買取だけを考えると、赤字になります。

また太陽光発電システムの経年劣化率は、NREL(米国・国立再生可能エネルギー研究所)が発表したデータによると、毎年0.5%程度発電量が低下するとのことです。
単純計算で20年で10%は効率が悪くなり、それだけ発電コストも下がります。20年?30年で架台なども劣化しメンテナンス費用がかかるようになります。
つまりは、現在の太陽光発電システムでは、固定価格買取制度を使って儲けられる時代は、過ぎたといわれるのは、このためです。

===太陽光発電は、蓄電池で自家消費を===
一方家庭用の電力料金は2023年には、35円/kWhまで高くなっています。今後の経済動向でどのように変化するかは不明ですが、安くなることはあまり期待できないようです。
しかし一方、現在主流のシリコン系太陽光発電システムの効率も高くなり、18円/kWhまで下がっています。自家消費を基本にすれば、電気料金として、35円/kWh支払うより、17円/kWhで発電する方がお得だということです。

自家消費で、注目されているのが家庭用の蓄電池です。昼に発電した電力を夜間に消費し、それでも余るようなら売電するというシステムを考えるのが卒FITです。
 
===ペロブスカイト太陽電池による地産地消===
ペロブスカイト太陽電池の実証実験が始まっています。ペロブスカイト太陽電池は、発電効率は現在のシリコン系と同じレベルですが、設置コストがかなり安くなります。
国の目標では、2030年代には7円/kWh以下を考えているようです。

まだまだ耐久性など研究課題が多く、実用化されるのは数年先とも言われていますが、研究者によると3年後には家庭用の実用化の目処がたつかもしれないということです。
研究者の計算によりますと、一人が使用する電力が、畳2帖の広さのペロブスカイト太陽電池でまかなえるようになるとのことです。そうなるとマンションなどの集合住宅でも、屋上だけではなく、ベランダの手すり壁などに、太陽電池を設置することで、消費電力の地産地消が可能となります。

<不動産トラブル>
■重要事項説明書(1)
(質問)
重要事項説明書の記載内容が実際とは異なっていたので、業者に「契約を解除したい」と言ったが、「申し訳ない」というだけで埒があかない。

(回答)
重要事項説明書の記載内容は、契約するかどうかを判断する上で重要となる内容を説明したものですから、記載内容自体が間違っているという場合は、業者として、何らかの責任を負わなければなりません。
「記載自体が間違っている」場合の原因としては、家主が業者に提供した情報自体が間違っていたケース、業者が過失で記入間違いしたケース、業者が故意に記載内容を変更したケースなどが考えられますが、はっきりさせなければならないのは、もし、「記載内容が間違っていなければ契約したかどうか?」です。

たとえば、遮音構造を物件選びの際に重視していた人が、鉄筋コンクリート造だと説明されていたものが、実際には鉄骨造だった場合などは、業者は、単に「すみません」では責任をおったことにはならず、契約解除する場合の損害をすべて負うべきでしょう。

しかし、建築年が1・2年事実と異なっていたというようなケースや全体の部屋数が少し食い違っていたというようなケースでは、契約するかしないかにほとんど影響はなかったはずですので、損害賠償まで求めるのは無理でしょう。

従って、ご質問のケースでは、業者に対して物件探しの際に重視するポイントとして説明していた事項が間違っていたのかどうかがポイントとなり、業m者に対する責任追及の内容もおのずと異なってくるものと思います。
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