マーケティング・リサーチでは、アンケートを利用します。独自に集計することもありますが、リサーチ会社が実施しているアンケートを活用することもあります。
アンケートは、マーケティングでは重要な役割です。意思決定の効果が高いと考えられているからです。ところがこのアンケートは、真実を反映していないこともあります。
===マクドナルドの失敗===
マクドナルドといえば、コレステロールの高そうなハンバーガーとフライドポテトが主力商品ですが、2000年に入り「消費者が求めるもの」というアンケートを行いました。その結果「もっと健康的なメニューも増やしてほしい」との声が多数あがりました。そこで「サラダマック」を発売しましたが、なぜか全く売れませんでした。
アンケートでは「健康に良いメニューを選ぶ」と回答しているのに、実際「サラダマック」をチョイスする人は、ほとんどいませんでした。なぜ売れなかったのでしょうか。
===人間の心理や行動は非合理===
これは、行動経済学からみれば当然の結果でした。人間の心理や行動は、合理的には動かないものです。マクドナルドで注文する際に「しっかりと健康を考えて注文する」のではありません。無意識にハンバーガーを選んでいるのです。消費者の行動を理解しようと考えたとき「論理的考察」には限界があります。それよりもむしろ「観察」することが大切です。
最近のマーケティング・リサーチは観察を重視しています。観察することで「人間がいかに不合理なものか」が分かれば、より適切な意思決定をし、施策を講じることができます。
===不動産の現場で===
不動産検索サイトでは、「交通アクセス」「立地」「間取り」「価格」が重視され表示されています。しかし実際は、多くの物件のなかで意思決定するときは、なんとなく「居心地が良さそう」で選んでいることが多いようです。ところが不動産検索サイトには、人の心によりそった広告表現は、あまり見かけません。
賃貸住宅の現場で、ますます空室率が高くなると言われています。この状況で生き残るための賃貸経営は、地域や住んでいる人を観察して、そのなかで入居者の心に響く住まいを提案することが重要になると考えられます。
<不動産トラブル>
<契約の成立>(1)
(質問)
申込書を提出し、手付金も支払っていたのに、後日、仲介業者から、「家主の都合で入居できなくなったが、まだ、連帯保証人の保証書が提出されておらず契約は正式には締結されていないので、預かった手付金を返金する」という連絡が入った。
現在住んでいる物件の退去通知も行ったため、いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないでしょうか?
(回答)
ほとんどの賃貸借契約では、「(連帯)保証人の確保」という条件がついていますが、
これをどのように理解するかによって、契約が成立しているかどうかという判断が分かれてきます。
一部の都道府県によれば、「保証人の確保」は契約の「停止条件」として取り扱っています。
「停止条件」としてとらえると、保証人の保証書が提出されるという「条件」が満たされて初めて、「契約の成立」とみなされることになります。
逆に言えば、それまでは、契約が成立していないとみなされるわけですので、仲介業者の主張の通りということになりますので、他の物件を探さざるを得なくなります。
しかし、正確に言えば、「保証人の確保」は、「停止条件」ではなく、「解除条件」なのです。
「解除条件」としてとらえると、「万が一、保証人の確保ができなかった場合には、成立していた契約を解除する」ということになります。
似ているようですが、法的な意味としてはまったく異なるのです。
なぜ、「解除条件」であるかと言えば、家主にとっては、万が一、借主側が保証人を立てられないという事態に陥った場合でも、契約を解除する、
保証会社の利用をしてもらう、保証人なしでも契約する(他の入居者を見つけるのが困難な場合など)などの選択肢があり、その時点で、解除するかどうかを判断することができるからです。
いずれにしても、保証人の確保は、契約の解除条件ですので、契約としてはそれ以前に成立していることになります。
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