1960年、アメリカ大統領選挙で初のテレビ討論が行われました。前副大統領であったニクソンは圧倒的有利だと言われていました。このとき若々しさをアピールするためにメイクをしたケネディと、忙しくて髭をそる時間なく疲れた顔のニクソンを見比べたのです。そして有権者は、実績のあるニクソンではなくケネディを選びました。それまでのアメリカの大統領は全てWASP(アングロサクソンの白人のプロテスタント)でしたが、ケネディは、アイルランド系のカソリック教徒という大きなハンディを乗り越えた初めての大統領となりました。

===メラビアンの法則===
アメリカの心理学者アルバート・メラビアン氏によると、話をする際に相手に伝わる情報は、話の内容自体が7%、声の大きさやトーンに関するものが38%、そして見た目が55%を占めるとされています。
メラビアンの法則を、賃貸住宅にあてはめて見ると、「入居者が集まらない空室が多い」「サブリース会社から一括借り上げ家賃を減額すると言われた」など、多くのトラブルを抱えた賃貸住宅を調べて見ると、エントランスの周囲に雑草が生えている、タイルが割れている、掃除もされていず集合ポストも汚れたままなど、印象がとても悪い状態でした。このようなアパートで暮らしたいとは、思いませんでした。

===ハロー効果===
同じようなハロー効果というのがあります、ハローとは日本語で言えば後光です。ある対象を評価するとき、その第一印象に引きずられて、全体の評価をしてしまう効果のことです。多くの政治家は、単色で印象的な色のネクタイを選択しています。例えばトランプのネクタイは印象的な赤の単色です。これもハロー効果を狙ったものだとおもわれます。

===第一印象を大切に===
きれいに掃き清められている、植栽も枯れていなくて雑草もみられない、傷んだり汚れたりしていないアパートのエントランスをみて、案内された入居希望者はどう思うでしょうか? その時から、部屋の中はどんなのだろうかと期待されると思います。
傷んで汚れてしまったものを復旧するには時間も費用もかかりますが、日頃からメンテナンスされていると、僅かな時間で掃除もできます。枯れ草を除去するのも、アパートだと3分もかかりません。アパートの空室で困っておられたらまずは、掃除から始めてはいかがでしょうか?

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不動産トラブルトピック(Vol.6)
<更新拒絶>(2)
(質問)
家主が、「自分の子供が結婚して住む」ということで、更新拒絶の「正当事由がある」と言ってきましたが、従う義務があるのでしょうか?

(回答)
家主から、入居者の退去を求める場合、契約終了の1年前から6ヶ月前までの間に通告することと、正当事由が必要とされています。

通告期間が守られていなければ、正当事由の有無には関係なく、家主から退去を求めることはできません。
通告が適法に行われた場合には、正当事由があるかどうかがポイントとなりますが、家主の「自分の子供が結婚して住む」という事情は、正当事由の一部にはなりえても、それだけでは正当事由として認められるわけではありません。

借地借家法の第28条によれば、「建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない」とされており、これらの事情を総合的に考慮して、家主としての正当事由があるかどうかが判断されるのですが、通常は、財産上の給付、すなわち、立退き料を支払うことで正当事由を補完することでようやく認められることが多いのです。

従って、家主に対しては、上記の説明を行い、どうしても退去を求めるというのであれば、
相当額の立退き料(同じ地域にある同等物件に引越するために必要な諸費用で、一般的には、家賃の6か月分程度は必要とされています)を支払うように求めたほうがよいでしょう。
どうしても住み続けたいという場合には、家主からの要求を退ければ、そのまま住み続けることができるでしょう。
その場合、家主としては、法的手段に訴えることになりますが、裁判などでは、上記の考え方に沿って、正当事由があるかどうかを判断するでしょう。
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