日本人は土地を資産と考えているが、建物を資産とは考えていない人が多いように思えます。不動産仲介会社の方は、「築30年を超えた建物は資産価値はゼロどころか、解体費がかかるのでマイナス」だと言われるようです。
一方米国では、建物こそ資産だと考えています。住宅を購入したアメリカ人は、新築であれ中古であれ、購入したその日からDIYでメンテナンスを始めます。「DIYしない夫は、妻から嫌われ離婚されてしまう」という都市伝説もあります。メンテナンスをすることで、暮らしやすくするだけではなく、資産価値をアップして資産価値を高くして売却するという考えがあるからです。
===ホーム・インスペクション(建物検査)===
米国の不動産売買には、ホーム・インスペクション(建物検査)制度が定着しています。買主が物件の購入を意思決定する際に、建物の状態について専門家にしっかりと調べてもらい、物件のことを充分理解、納得して購入します。検査で不具合や修繕が必要なところが見つかれば、売り主に改善を要求するか、価格交渉をします。従って費用は通常、買主が負担します。売るときに資産価値を高めるためにも、メンテナンスを欠かさないのです。だから米国やイギリスでは、住宅売買の9割近くが中古住宅です。
===日本の住宅でも100年の耐久性がある===
アメリカ人は、結婚して最初に家を購入してから平均3回は引っ越しするようです。日本人は、新築戸建を購入すると、一生そこで暮らすという意識があります。だから購入した建物の資産価値を高めようとしません。日本の住宅の平均寿命は30年、米国の住宅は100年と言われています。この差が出てくる要因はここにあると考えられます。子供が生まれてしばらくして新築住宅を購入、そして子供が独立しても住み続けます。だから建物の劣化にも気が付きません。ちょっと雨漏りがすると大騒ぎします。
日本の住宅でも、定期的に検査をしてメンテナンスをすれば、間違いなく100年の耐久性があります。建築材料にはそれだけの性能があります。
===建物の資産価値は高くできる===
土地の資産価値は、個人の力では高めることはできません。社会情勢は地域経済によります。一方建物の資産価値は、一人ひとりの考え方で高くすることができます。もし、住んでいる住宅を高く売って、狭いけれど便利なマンションをローンなしで暮らすことができるという「住まいのダウンサイジング」ができれば、それまで30年も負担してきた住宅ローンも価値があるものになります。
その最初の一歩が、ホームインスペクション(建物検査)です。日本橋ビジネス資格センターでは、建物検査士の講座を開くとともに、誰もが簡単にできる建物検査のYoutube動画を定期的に公開しています。