近年、新しい建材が次々と開発されています。このコラムでは、2022年10月にCLT建材を紹介しました。
CLT建材は将来鉄筋コンクリートに変わる構造材とされていて、様々な建築材料が開発されています。現段階では実証実験中のものもありますが、おそらく数年以内に実用化されると思われます。

そのうち今回は、「セルロースナノファイバー(CNF)」「潜熱蓄熱材」を紹介いたします。

===CNFセルロースナノファイバー===

木材などから抽出される細胞壁主成分の一種であるセルロースを幅15ナノメートル程度(ナノメートルは100万分の1ミリ)にまで細くした繊維がCNFです。繊維素材として結晶化しやすく軽量・高強度・高弾性率など多くの利点があります。

CNFを主成分とした軽量で高強度のCNF成形体は、室内用ドアをはじめ床材や壁材などに活用されようとしています。また、竹材を使った樹脂サッシはアルミサッシにとって変わるかもしれません。

透明性のある合わせガラスも、CNFで開発が進められています。CNFの利用は間伐材などの森林資源や産業廃棄物を含むさまざまな植物資源の有効活用につながることから、持続型資源として注目されています。
また鉱物資源を使用しないので、アルミを100%輸入に頼っている日本にとっては重要な技術です。

===潜熱蓄熱材パネル===

「潜熱」は聞きなれない言葉ですが「顕熱」と対になる言葉です。温度変化を伴う熱を「顕熱」、温度変化を伴わない熱を「潜熱」と言います。

潜熱蓄熱建材は、物質が相変化する際に吸収・放出する潜熱を住宅・建築物での蓄熱に利用する建材です。
実用化されようとしている「潜熱蓄熱材パネル」は、冬季において昼間の熱を潜熱蓄熱建材で蓄熱する事で日射による室温の温度上昇を抑え、夜に放熱する事で夜の暖房負荷低減と室温の安定化が可能になります。

電力需要がピークを迎える時期においてはそのピークシフトによる電力系統負荷低減についても期待されています。潜熱蓄熱建材は、夏は蓄冷、冬は蓄熱をすることで発電電力の自立利用をする可能性が検討されています。

潜熱蓄熱建材は、次世代省エネ建材支援事業に指定されているので、採用するにあたっては補助金を受けることができます。

===これから広がる新しい建材===

内装材としては湿度を調節してくれる「調湿建材」、「発電する窓ガラス」「夏の熱を蓄えて冬の暖房に利用する蓄熱素材」などがあります。

もうひとつ「ペロブスカイト太陽光発電フィルム」は貼れる発電フィルムとして、自動車や電車、飛行機にまで貼って発電するアイデアもあります。
効率面からは、まだまだという意見もあります。しかし着実に変わりつつあるようです。