平成10年に、国土交通省が「原状回復に関するトラブルとガイドライン」を作成し、民法などの法令も整備されてきてトラブルは減っているように思われています。

しかし実際は、増えてるのが実情で国民生活センターへの相談件数によると、平成19年の敷金に関するトラブルは約13,700件で平成7年の3,300件の4倍となっています。
この数字は国民生活センターの相談件数のみで氷山の一角です。

相談もされない泣き寝入りが相当あるのではないでしょうか。裁判までに至るケースは、ごく僅かです。

===不動産仲介業者は、公平でなければならない===

仲介業者の多くは大家さんからの管理料という収入が収益の大きな割合をしめているため、大家さんに味方することになってしまいます。

退去してしまえば、もう会うことは殆どない賃借人の味方をしても、メリットは少ないと考えてしまい多くの人が「不動産屋」という言葉を使う時、良いイメージを持つ人はあまり多くありません。

その原因は、こんなところにもあるかもしれません。
不動産業界が、自らのコンプライアンスを高める努力をしなければ、不動産業の社会的地位は高くなりません。そこで一番大切なのは、公平ということだと考えます。

===「誰でもがわかりやすい原状回復のルール」を示す配慮===

「契約書、重要事項説明書に記載しています」と説明しても、入居者は原状回復の内容を詳しくみることはなく「署名捺印してください」で終わっています。

例えば、「国土交通省のガイドラインを図示したパンフレット」を作成して、賃借人には「住まわれる時にこの点は、注意してください」と示します。

大家さんにも同じパンフレットで「部屋の経年劣化は、賃貸人の負担になります」と理解していただく。
こんな配慮が、あれば「この不動産会社は信頼できる」と、思っていただけるのではないでしょうか?

===これからは「そのまんま賃貸」===

外国の例をみると、いわゆる敷金にあたる預け金は、60%以上の割合で100%返金されています。

東京は全額返金したケースは12%しかなく40%以上の方が、敷金を5割以上引かれてしまっています。

そこで、トラブルを防ぐために「そのまんま賃貸」が増えると思われます。
「そのまんま賃貸」は、最低限のハウスクリーニングだけにして、クロスや床は自由に貼り替えても大丈夫ですよ。
もしくは、施工は有償で請け負うことも可能です。こんな賃貸住宅です。

外国では、賃借人が部屋の塗装やクロス張替えを自由できます。これによる敷金トラブルはなく床も土足では傷がつくのはあたりまえです。
そのためカーペットを敷いたりします。「そのまんま賃貸」の模様替えができることが、賃借人にとって部屋を借りるメリットとなっています。