日本経済新聞における「放置空き家、周辺不動産の価値下落 損失3.9兆円試算」その試算方法とは
2024年6月16日、日本経済新聞は、全国の放置空き家が周辺不動産の価値を押し下げ、
2023年までの5年間で3.9兆円の経済損失に達する可能性があるとする試算結果を報じました。
試算方法
この試算は、全国空き家対策コンソーシアム(事務局:東京商工会議所)が、
民間調査会社や大学研究者らと共同で実施しました。
具体的には、以下の手順で算出されています。
2018年の総務省「住宅・土地統計調査」に基づき、全国の空き家数を推計、空き家放置による
周辺不動産価値下落率を過去の地価調査や不動産取引データなどを基に算出1と2を掛け合わせ損失額を算出
試算結果
試算の結果、放置空き家が周辺不動産の価値を平均5%押し下げていると推定され、
全国の空き家数約860万戸に基づくと、3.9兆円の経済損失が発生しているとされました。
損失の内訳
試算によると、損失の内訳は以下の通りです。
住宅地:2.7兆円
商業地:0.9兆円
工業地:0.3兆円
問題点と懸念
この試算は、空き家放置が地域経済に与える負の影響を定量的に示した点で評価されています。
しかし、試算結果には以下の問題点や懸念も指摘されています。
・空き家放置による価値下落率は地域や物件の状態によって大きく異なるため、平均値5%という数字の妥当性に疑問が残る
・損失額の算出方法が十分に透明化されていない
・経済損失以外にも、空き家放置による治安悪化や景観劣化などの問題も考慮する必要がある
今後の課題
空き家放置による問題を解決するためには、以下の課題に取り組む必要があります。
・空き家所有者への行政指導や支援体制の強化
・空き家の利活用を促進する制度整備
・地域住民による空き家問題への意識向上