区分所有法の改正−3 「一棟リノベーションとは」

今年度中に「区分所有法」が改正されます。そのなかで「一棟リノベーション」が審議されています。
前回少し説明しましたがもう少し詳しくお知らせします。

===選択肢が3つに===

これまで、マンションの再生工事は、「大規模修繕」「建替え」の2つの選択肢でした。
建替えには4/5以上の賛成が必要で、費用も1戸あたり数千万円がかかります。

「大規模修繕」は1/2の賛成で可能で、費用も毎月の修繕積立金で施工できます。
しかし大規模修繕では、再生には限界がありました。

「一棟リノベーション」では、専有部の変更も可能で、再生可能性も広がります。
しかし 「一棟リノベーションには、これまでは全員の賛成が必要でした。

今回の改正で、多数決の賛成で可能となるようです。具体的な基準はこれから決まるとのことです。

===一棟リノベーションで可能な工事===

まず専有部分の工事が可能となり、スラブ下配管という下の階の天井の排水管の改修などができるようになります。
エレベーターの停まらないフロアのバリアフリー化や、オートロックの設置など、
近年のマンションと同等の設備に設置することも可能となります。

===部屋の広さが変えられる===

若いときは子供たちのために部屋の数が必要でしたが、夫婦だけの暮らしでは、
1LDKなどにダウンサイジングを望む人も増えています。

暮らしのあり方も多様となり、望まれる機能も広さも変わってきます。
マンションの専有部分をカスタマイズすることで、資産価値がアップすると考えられています。

===ZEM(ゼロ・エネルギー・マンション)===

2050年カーボンニュートラルの目標に向けて、マンションにも省エネだけでなく再生可能エネルギーが求められます。
専有部の工事が可能になれば、マンションにも太陽光発電や蓄電池の設置、太陽熱利用の床暖房や給湯配管などが考えられます。

また雨水を使ったトイレなどに中水配管を加えることも難しくなくなります。
今後、一棟リノベーションの工事費用への融資制度が充実してくれば、検討する管理組合も増えてくると思われます。