「お得ですよ!!」で、相手は説得できない。

2002年にノーベル経済学賞を受賞した「プロスペクト理論」は再生可能エネルギーの導入決断に、
一番最適と考えられますので、今回はもう少し内容を掘り下げてみることにしました。

===損失を回避するプロスペクト理論===

プロスペクト理論は、カーネマンとトベルスキーという2人の心理学者の研究です。
「客観的な数値である期待値が同じ場合、人は得をすることよりも損をしないことを優先する」心理です。

二人は2つの選択肢から選ぶ質問を2つしました。1つ目は「①の選択では、無条件に10,000ドルもらえます。
②の選択では、コイントスで表がでたら20,000ドルもらえます。どちらを選びますか?」という質問では、
多くの人が①を選択しました。

2つ目は「あなたには20,000ドルの負債があります。①を選択すると、負債のうち10,000ドルを免除します。
②の選択では、コイントスで表がでたら、20,000ドル全額を免除します。どちらを選びますか?」という質問では、
ほぼすべての人が、〈質問2〉ではギャンブル性の高い「選択②」を選ぶことが実証されました。

実験結果が意味することは、「人間は目の前に利益を提示されると、利益が手に入らないという損失の回避を優先し、
目の前に損失を提示されると損失そのものを回避しようとする傾向がある」ということです。

これを、心理学では「損失回避バイアス」といいます。

===再生可能エネルギーを導入を考える心理===
 多くの人が、いつかは太陽光発電をしたいと考えているようですが、「太陽光発電はお得ですよ。
パネルの設置から平均約7〜9年で元が取れますよ!」と説得しても、なかなかYESと言ってくれません。

「パネルも電池も今後ますます安くなるのでは?。今買ったら損をしそう!!」と考えているのかもしれません。

「電気代は、今後高くなると思いますか、それとも安くなりますか?」「夏の冷房費は、これからもっと高くなりそうですか?」
という質問では、消費者はどのように感じるでしょうか?

「損失をしない方法を考えませんか」の提案では違った反応があるかもしれません。