行動経済学シリーズ−3

今回は「プロスペクト理論」「現在志向バイアス」の2つです。
従来の経済学では、「人間は自分の利益が最大化するように常に合理的な行動を取る」という考え方ですが、
人間は感情の影響を受け『必ずしも合理的ではない行動』を起こすというのが行動経済学です。

===プロスペクト理論(損をしたくない)===

「プロスペクト理論」は、心理学者のカーネマンとトベルスキーが提唱し、ノーベル経済学賞を受賞しました。

人間は与えられた情報から、事象が発生する確率に比例してものごとを判断するのではなく、
状況や条件によって、その期待値を歪めて判断してしまうというものです。

人は目の前に「利益」(例えば10万円を得る)があると、利益(10万円)が手に入らないというリスクを回避しようとします。
逆に、損失(10万円を失う)に向き合う場面では、損失(10万円を失う)を回避しようとします。

大規模なセールのときに「何も買わないのは損」「今買わないと損をする」と感じて、つい買ってしまう、といった現象もプロスペクト理論です。

===現在志向バイアス===

現在志向バイアスとは、将来の大きな利益より目の前の小さな利益を優先してしまうことを指します。
今すぐに得られる目先の利益のために、将来得られるはずの利益を犠牲にしてしまいがちです。

心理学では「マシュマロ実験」が、紹介されています。子どもたちにマシュマロが1個置いてある部屋で待たせて
「私が帰ってくるまで15分我慢したら、マシュマロを2個あげる」と告げて部屋を去ります。

そして観察したところ、3分の2の子どもが目先の利益を優先して、マシュマロを食べてしまいました。これは子どもだけに限りません。

◆ 1年後の体重5kg減量よりも、目の前のポテトチップス。
◆ 3年後の有名大学合格よりも、目の前の楽しみ。
◆ 5年後のマイホーム購入よりも、目の前の新車購入。

明日から頑張ろう。今日くらい良いじゃないか。頑張った自分へのご褒美だ。

===行動経済学でマーケティングを考える===

行動経済学は「心理を利用して売ろう」というものではありません。あくまでユーザー心理を読み解くヒントです。
マーケティングの目的は、ユーザーと良好な関係を築くことです。

そのためにも、ユーザーがどのようなことを感じて、経済行動を起こすかを考えてマーケティングを組み立ててはいかがでしょうか。