山本想太郎著「超インテリアの思考」を読んで

建築家の山本想太郎さんが書かれた「超インテリアの思考」を読み、その発想に驚かされました。
その一部をここに紹介させていただきます。

もちろんこの感想は私個人のもので山本想太郎さんのお考えとは少し違っているかと思いますが、
そこはご容赦いただければありがたいです。

===建てるべきではない社会===

一般的に建築家の仕事は、新しく建物を建てるのが仕事の中心だと考えていました。
山本さんはそこから脱して、「建てるべきではない」時代になっているとしています。

日本では民間・公共を問わず過剰な建築ストック(空き家・空き施設)があり、
これをリノベーションやコンバージョン、主な仕事となってきているとのことです。

確かに、日本の住宅は平均25年〜30年で建て替えられています。
アメリカの55年、イギリスの75年に比べると短命です。

ここは私達が変えて100年住宅を目指さねばならないと考えています。

===天井はなんの役に立っているのか===

天井は当然あるものと考えていますが、山本さんの「天井はなんの役に立っているのか」という発想から、
配線は配管を隠すという中途半端な化粧はいらないのではないかとの考えにたつと、
思わぬメリットがみえてきます。

故障も見つけやすく、また設備の更新も簡単になります。
最近の店舗では天井をなくす傾向が多いようです。住宅でも天井がなくても良いかもしれません。

===リノベーションは新築の劣化版なのか===

建築基準法は新築行為を想定して作られています。耐震性や防火性能は強化されるべきですが、
建築の法規が改正されるたびに古い建物が「既存不適格」というレッテルが貼られることの
価値が低下している現状を変えて、リノベーションを本格的に活性化することができれば、
建築の価値に対する社会の感覚も変わっていくのではないかと提起しています。

そのなかで内装の仕上げなどを完成体として整った状態を目指さず、DIYの可能性、
家具や物品の事由な配置などの不確定要素を許容して、
生活者の自然な感覚を直接的に反映することの大切さには驚かされました。

ここまでは、「超インテリアの思考」のごく一部の紹介です。
次回は、山本さんの思考の中心を紹介できればと考えています。

できれば皆さんにも、是非この本を今一度読んでいただければと願います。