江戸落語では「大家は親も同然、店子といえば子も同然」と語られます。

借家人には公的な権利や義務がなく家主がその保証・責任を負ったところからいう。

江戸には全国から働きに来た人が多く、人口100万人の当時で世界で最も大きな都市であった。

当然、もとから住んでいた住民と新たにやってきた住民との間でトラブルがあっても不思議では
ありません。

今、海外から働きに来る人々が増えている状況と重なるようです。
そこで江戸時代の住民の暮らしの世話人の大家さんの存在がヒントになると思われました。

===江戸の大家さん ===

今は大家さんは貸家の所有者ですが、江戸時代の長屋の所有者は、武家や寺社でした。

武家や寺社が幕府から拝領した土地の一部に収入源のため長屋を建てていました。
商人が長屋を建てるのは大店しかできなかったようです。

その管理をいわゆる大家さんに任せていたのです。

大家さんの仕事は実に大変で家の管理だけではなく、町の管理、人別帖の調査、お役所への
お伺い、身元保証、病人・怪我人の世話、冠婚葬祭など実に多く大変だったようです。

家賃の1割程度の収入ではできるわけではなく、親も同然は落語の世界ではなく現実でした。

===神奈川県「いちょう団地」の自治会===

横浜市と大和市にまたがる「いちょう団地」という84棟の大団地があります。

この団地の住民の2割が外国籍の人々ということでアジアの食材店や食堂もあります。

ここには、かつてのベトナム・カンボジア難民も多く住んでいるといいます。
やはり、当初は外国籍の人々と日本人の間にはトラブルなどが幾度となくあったようです。

そこで立ち上がったのが自治会で少ない自治会費で、数カ国の言葉のパンフレットを印刷したり
看板を設置などをしてコミュニケーションをはかりました。

自治会主催で日本語学校やスポーツイベントなど、さまざま実施してきたとのこと。

そして結果今では外国籍の人々も自治会活動に加わるようになりました。
小さなトラブルは住民同士で話し合えるようになったということです。

===これからの不動産管理===

不動産仲介と管理のビジネスは、少子高齢化のなかでますます厳しくなってきます。
賃貸不動産のオーナーも入居者が減れば事業はなりたたなくなります。

しかし、一方安い費用での住まいを求めているひとは、少なからずあります。
従来の思考を今一度見直してみるひとつのヒントに「江戸の長屋」と「いちょう団地」があると
思われます。